カスハラ対策を人的資本経営につなげる視点
近年の社会問題である「カスタマーハラスメント(カスハラ)」ですが、今年10月から、労働施策総合推進法第33条として、企業のカスタマーハラスメント対策がコンプライアンス要件(雇用管理上の措置義務)として明文化されます。 自社の対応は万全だろうかと、準備を急がれている経営者も多いのではないでしょうか。 しかし、ここで注意したいのは、これを法改正への受動的な対応として矮小化してはならないという点です。カスハラ対策は、単なる顧客対応のルール変更ではありません。人と組織の成長に向けた重要な全体戦略の一環として捉えるべきものです。 パワハラやセクハラは、基本的には社内体制を整える内部統制でコントロールが可能です。一方のカスハラは、企業のコントロールが及ばない外部リスク要因が非常に大きい点に特徴があります。 従業員に対する理不尽なクレーム、長時間拘束、SNS拡散やメンタル不調など。 だからこそ、会社が毅然とした態度で従業員を守る姿勢を示すことが重要です。 また、大切な人財を理不尽な外部の攻撃から守ることは、単に現場のストレスを減らすだけにとどまりません。 ・生産性の向上 ・離職率の低下 ・ウェルビーイング(幸福度)向上 ・健康経営の推進 ・女性活躍の支援 これらはすべて、現代の経営における最重要テーマ「人的資本経営(知的資産経営)」の実現に直結します。 法改正への対応を、単なるコストや義務のレベルで捉えるか。それとも、エンゲージメントやブランドを高める好機として捉えるか。今こそ、体系的で俯瞰的な視点を持って、自社のハラスメント対策を見直すべきではないでしょうか。